6月18日(土)に、百道浜にあります福岡市博物館におきまして、「吉村作治の古代七つの文明展~人と地球と太陽の船~」の展覧会が開会されました。9月4日まで開催されます本展覧会は、「吉村作治の早大エジプト発掘40年展」、「吉村作治のエジプト新発見!エジプト展」に次いで、私にとっては3度目の企画ものです。
開会式の、まさにテープカットの瞬間です!
  主催は、福岡市に本拠地を置くRKB毎日放送です。はじめて私がRKB毎日放送と仕事をしたのは、今を去ること15年前に開催された、TBSテレビ主催の、ウィーン美術史美術館所蔵のエジプトコレクションの「エジプト展」でのことです。それ以来、いくつかの展覧会の監修やスーパーバイザーをさせていただきました。
  2005年には、私の40年間のエジプト発掘の成果を展示するという展覧会を、福岡を皮切りに全国11ヵ所でやっていただき、140万人の観客を動員していただきました。続いて「新発見展」でも、全国11ヵ所で100万人を超える方々に見ていただきました。これは、2010年5月に長野市で終了し、すべての出品物はエジプトに戻っています。この2つの展覧会は、全く事故もなく、200人を超すエジプト人の考古関係者とジャーナリストに日本各地に来て、その成り行きを見ていただき、最高級の評価をいただきました。
   2つ目の「新発見展」を開催しているとき、次は何をしよう、私たちのエジプトでの発見物での展覧会を立て続けに3回やるのは少々能がなさ過ぎるし、かといって、他の文明展というのもリスクが大きすぎる、というわけで考えた末、私のエジプト以外のもうひとつの研究テーマ、「比較文明」に関わる展覧会をしたらどうかと思ったわけです。
 ちょうど20世紀が終わり21世紀に入り、20世紀の大量生産、大量消費型の文明の破綻に気づき始めたところでしたので、新しい21世紀の文明を考える展覧会をしたらどうだろう、というのが企画の発端です。21世紀の世界のテーマは、私たち人間と地球という自然とが、どう向きあっていけばいいかを考えることです。それを「環境の世紀」と名付けて、世界中の人が知恵を出し合っています。CO2削減にばかり力を入れすぎて、少しずれてしまっていますが、ともかく、ようやく気づき始めたのです。それがうまく進んでいないのは、各国の政治的思惑、すなわち各国の欲の突っ張り合いが原因ですが、今のところ少しずつではありますが、表面上前に進んでいます。
   しかし、問題は心です。科学技術や経済的視点、政治的バランスなどをいくら駆使しても、うまくいかないでしょう。それは、人と自然の関わり方を根本から見直さなければならないからです。
   福島の原発問題でも、マスコミは細かいデータを要求し、東電もそれに答えないとコテンパンにやられるので、それに腐心し、時間とエネルギーを使い尽くしています。これも大切ですが、それを分析、解析するには、時間が必要です。歴史事項としての検証は、
   公表するより評論するより、間違いないデータを取得し貯めて、それを過去のチェルノブイリやスリーマイルと比較検討し、最善の方策をとることで、そこに時間とエネルギーを使うべきなんです。政府内にたくさんの対策室や委員会をつくっても無駄なだけで、ひとつを設け、首相がヘッドになり、各方面の考えを聞き、判断すれば、この遅れはなかったはずです。すなわち、マネジメントがまったくなっていないわけです。
   今回の大震災の起きる3年前に、私たちは今のように自然を甘く見ていると必ずしっぺ返しを受けると感じ、自然と上手に立ち向かった七つの文明を取り上げて、これからの人類の進み方を考え直しましょうということで、この展覧会を計画したのです。直近のことは、政治・経済・社会問題を専門にされている方にお任せするとして、21世紀半ばから人類はどうやって精神面、物質面で取り組んでいくべきかのスタートラインを、古代文明にあてました。
   今10歳の子どもでも、2025年には35歳になり日本を背負っていくわけですから、ぜひ子どもさんたちに見てほしいのです。
  幸い初日の18日は、大雨にも関わらず、子ども連れの家族がたくさん来てくださいました。「大局が見られる大人づくり」が私のミッションです。
各文明の監修者の方々との、オープン記念イベントのパネルディスカッションの模様。
トークショー&サイン会にも大勢の方々がお越しくださいました!
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アケトスタッフ

吉村作治のエジプトピアを運営する株式会社アケトのスタッフです。