先週は、福岡のRKB毎日放送の「今日感テレビ」に出た以外は、珍しく地方や外国に行かず、一週間中東京で色々な方とお会いしていました。ひとつひとつの会議は、それなりに前進はしているのですが、色々なプロジェクトを手がけているので、その調整が難しく、自分がもどかしく感じられます。老人特有のせっかち性が出ているのかもしれません。
そうした中、先日ミュージカル「風を結んで」を見に行きました。このミュージカルは、私の親しい友人、中川晃教さんがデビュー10周年を記念して主演しているものです。題名があまりにも抽象的で、その真意がわかりませんでした。推測してみると、風そのものは物理的には結べないものですから、結べないものを結ぶということになります。すなわち、ひとつの解釈では、結ぶ人が結んだ気になれば、結んだことになるということです。もうひとつは、所詮結べないものなのだから、結べず終わるという風にもとれるわけで、かなり抽象的な、と言うか、前衛的なミュージカルかなと思っていました。
しかし始まってみると、かなり具体的な筋書きで、テーマは「生きて生きて生き抜け」。決して無駄死にはするなという人生訓に満ちあふれていました。どんな理屈があろうと、主義主張で死んだら、その主義主張はその世の中に反映されないのだということを、主人公は身をもって行動するという、今のご時世にあまりにもぴったりのもので驚きました。
プログラムによると、作者の大谷美智浩氏は、当初「出番なし」というタイトルを考えていたそうです。しかし、「風を結んで」の方が数段いいと私は思います。風格というか、品があると思います。その中に、「仰がれずとも星」(舞台の中でも出てくるセリフです)というのが書かれてありますが、その考えに私は共感を持ちます。
舞台は明治維新前後なのですが、私たちは、日本の今があるのは明治維新があったからで、それを引き起こした志士が作った歴史のおかげだと思い込んでいます。しかし、違うんだぞ、こういう人たちがいたからこそ今の日本があるのだ、ということに気づかせてくれるものでした。しかも、この台本は2004年6月という以前に書かれたということにも、とても感動しました。
舞台は明治維新前後なのですが、私たちは、日本の今があるのは明治維新があったからで、それを引き起こした志士が作った歴史のおかげだと思い込んでいます。しかし、違うんだぞ、こういう人たちがいたからこそ今の日本があるのだ、ということに気づかせてくれるものでした。しかも、この台本は2004年6月という以前に書かれたということにも、とても感動しました。
ともかく、中川晃教氏も出ずっぱりで、踊り、歌い、しゃべり、とすごいのですが、総勢11名ですべてやっていたということを最後のあいさつで知り、驚きました。中心となっている方々が7人ですから、あと4人しかいないわけです。その方々だけで、途中で出てくる通行人役とか狂言回し、獅子舞ですとかをこなしているのですから、その集中力のすごさにはびっくりします。予想以上の上演時間にも関わらず、展開が速く、本当にすばらしいものでした。
6月19日まで日比谷のシアタークリエでやっています。ぜひ見に行ってみてください。
「風を結んで」公式サイト http://www.tohostage.com/kazewo/index.html