エジプトより帰国してから約1週間のうち、6日間は地方にいました。佐賀、福岡、小松、三条です。1泊2日か日帰りの日程ですが、エジプト滞在を入れますと、5月の半月で11日間は東京以外にいたということになります。
東京が嫌いというわけではなく、仕事をこなしているというだけですが、そこで見えてくるものがあります。それは、気持ちの安定というものでしょうか。ゆったりとした気持ちになるということです。東京にいますと、いつも何かに急かされているという気がします。人々の顔に険しさや不満げな表情を見ます。「ひそひそ話」も目立ちます。せかせか歩いている人も多く、肩と肩がぶつかることも少なくありません。
節電と称し、エスカレーターを止め、電気を消しています。以前から駅などの不必要な明るさに違和感は持っていましたが、こう急に暗くされますと、目の悪い人は階段でつまづいたり、エスカレーターがないためにお年寄りや脚の悪い人が荷物を持って階段を上る苦労を見て、これでいいのか、と思います。特に、自販機の照明をなくせとか、設置を止めろと言う、都知事の暴言には、怒りがこみあげます。彼を選んだツケが、都民にまわってきています。
それに対し、地方は健全です。行くところ行くところで東日本の被災された方々を引き受け、祭りに招待したり、なんとか地元に馴染んでもらおうと努力している地方行政-本当は東京もひとつの地方なんですが-の方々の気持ちのよさを感じます。もともと照明の少ない地方では、自販機の光が夜道の安全を確保してくれているのです。
しかし、地方経済の冷え込みはハンパじゃないようです。今何とかしないと、自殺者が例年の倍になるのではという心配が現実味を帯びてきています。経済評論家の方の中には、復興特需で日本経済は持ち直すと言っている人もいますが、そんな与太話より、今苦しんでいる人を救う方法を政治家や経済人はするべきだと、一市民は思っています。