7月9日より9月末までの予定で、エジプトのカイロ市内タハリール広場にあるカイロ・エジプト博物館で、早大エジプト発掘40年展が始まりました。その前日7月8日午後6時に展覧会場でオープニング・セレモニーが開かれまして、考古庁長官ザヒ・ハワース博士、在エジプト日本大使石川閣下をはじめ、300人ばかりの新聞記者、テレビ局関係者、在留邦人、エジプト文化関係の人などが集まってくださいました。この展覧会は、2006年7月から2008年10月まで日本全国11ヵ所で開催されました「吉村作治の早大エジプト発掘40年展」のエジプト凱旋展覧会なのです。
思えば、1966年初めてエジプトに行って今日まで43年、1年たりとも発掘を中断したこともなく続けてきた賜物と思っています。発掘を始めてからずっと思い続けていたのは、「いつか自分の発掘した出土品で展覧会を日本で開き、日本の皆さんに観てもらおう」ということでした。そのため、自分の発見したものは、すべて分配を受けずエジプトに差し上げてきました。本来エジプトでは、外国隊に対して出土遺物の半分をもらえる特典があり、それがインセンティブとなって外国隊は年間150隊も自費でやってきています。それをあえてやめた理由は、「エジプトのものはエジプトで」という理想をかかげ実行したフランスのエジプト学者マリエットに共感を覚えたからです。実際に、ロンドンの大英博物館、パリのルーブル美術館、ニューヨークのメトロポリタン博物館、ベルリンのエジプト博物館等、エジプトコレクションを観ていて、どうもしっくりいかない思いがいたします。「エジプトのものはエジプトで」というマリエットの言葉は正しいと思ったのです。それが叶ったばかりか、その上世界のトップであるカイロ博物館で凱旋展覧会が開けたのですから、とてもうれしいと共に、幸運の女神に感謝しなければならないわけです。
翌9日は1000人以上の外国からのツーリストが観てくださったとカイロ博物館の学芸員の方から聞き、またうれしくなりました。「果報は寝て待て」ということわざがありますが、私は寝ていてはだめだと思い、この40年間がむしゃらにやってきました。その中でのこの展覧会は、私にとって大切なものです。ザヒ長官は「新参の日本隊もよくやったんだ」と感心してくださいました。石川大使は「継続は力ですね」とおっしゃってくださいました。ここでひと段落というわけにはいきません。これを糧に、より一層の努力をしていかなければいけないと思いました。

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アケトスタッフ

吉村作治のエジプトピアを運営する株式会社アケトのスタッフです。