最近、私の数少ない親友の死の知らせが届きました。ここ数年音信不通で心配していたのですが、知らせを聞いてがっかりしてしまいました。わりと楽観的に生きている私ですが、ここ数日は気落ちして、虚しさが大きくおおっています。ちょうど数日前、彼のことを思い出したり、彼が夢に出てきたりしていてどうしているかなどと仲間と話していたので、よけいにその思いが強いのでしょう。
彼とは中学生の時からのつきあいでした。同級生だったのです。スポーツもでき、勉強もできという秀才肌の人でした。高校進学の時、彼と同じ高校に行きたいと担任の先生に言ったら、君は成績の上では難しいのでもう一つランクの下の高校に行きなさいと指導されやむなく別れましたが、高校の時もそして浪人1年目の時もよく会って話をしていました。今の私の人格形成において重要な人でした。本当にいろいろなことを教わりました。
中学の時、彼は小説家になるという夢を語ってくれました。その時私は、「それではボクが出版社につとめて、君の担当編集者になっていいかな」と言い、了解をとりました。彼は優秀でしたが、何故か現役では東大に不合格となり、一緒に予備校に通いました。予備校でもどうしてこんなに成績のいい生徒が不合格になったのかと首をかしげていました。しかし、この1年間は本当に苦しかったです。授業のない時は神宮外苑で話をしたり、サッカーを観に行ったりしました。1年後、彼は当然東大に合格し私はまた落ちてしまいましたが、彼は私を見捨てることなく、いろいろと教えてくれました。そして彼は卒業して出版社に入り、私はエジプトに行って、離ればなれになりましたが、私が日本に帰ってきた時に彼が「君の本を出そうよ」と言ってくれそこから3冊も出してくれたのです。「逆もまた真なり」だから、と言って、中学の時の約束を逆にして守ってくれたのです。
それからずっとずっと私の数少ない親友としてつきあってくれ、エジプトにまで来てくれたのです。ただただ無念です。心の支えのなくなってしまった虚しさに、私はここ数日自分を失っています。しかし人間いつかは死が来ます。覚悟はしていますが、自分の死より悲しいのも事実です。安らかに、友よ。

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アケトスタッフ

吉村作治のエジプトピアを運営する株式会社アケトのスタッフです。