11月24日(月・祝)、勤労感謝の日の振替休日に熊本市の崇城大学市民ホールで開かれた「薬師寺21世紀まほろば塾」で講演をしました。演題は「古代エジプト人の心」でして、古代エジプト人の家族、夫婦、親子、男女、友情等を考古学で検証することと、古代エジプト人の死生観について話しました。
私の講演の後には、薬師寺の安田暎胤管主とアーティストの石井竜也さんの対談がありましたが、実に感動的でした。対談のタイトルは「心の美の表現」で、これはおそらく主催者が、音楽だけでなく彫刻や絵画でも芸術性の高い作品を作っている石井さんから、どうしてあのような独創的な作品ができるのかという内面的な話を引き出すのが狙いだったと思いますが、それが見事に語られていました。
私は石井竜也さんとは、何度かテレビ番組で対談したり、だるまをモチーフにした「顔魂」の展覧会図録に掲載された対談でじっくりとお話ししたことがありますが、この日のお話を聞いて石井さんの内面的成熟性が数段と高まっていると感じました。
話は石井さんが薬師寺でコンサートを行ったことから始まりました。ご存じの通り、石井さんは米米CLUBのボーカリストとしてカールスモーキー石井という名でデビューしヒットを飛ばし続け、10年ほどでソロでの活動も始めて、今日の成功を遂げた人です。私は石井さんのファンでコンサートにも行ったことがありますが、やはり大変な人気でして、この日も午前8時から100人以上のファンが並び、舞台の中央列を前から後ろまで占領していました。しかし、私の講演のときに席を立つというような非礼な人は一人もいなかったのは、石井さんのお人柄がファンに浸透しているからでしょう。
対談では言葉の端々に人の生き方を教えてくださるようなキーワードが出てきて、そのたびにメモを取りました。管主も石井さんに自由に話をしてもらうように誘導しながら仏教の教えも説いていらっしゃって、素晴らしいコラボレーションでした。なかでも一番心に残ったのは、石井さんが薬師寺で最初にコンサートをしたときは薬師寺や観客のために歌ったが、2度目は自分のために歌ったということです。しかし結局のところこの2つは同じことで、それがわかった時に自分の成長を感じたということでした。何気ないことですが、とても重みがあります。
また、薬師寺での2度目のコンサートでは「あいたい」という曲を唄われたということですが、この曲はどんなことがあっても自分を支援してくれたおじさんが亡くなってしまい、おじさんのために作詞作曲したものだそうで、薬師寺以外では唄えない(もちろんCDでも出していないということです。)と語られたことは、心に染みました。そして、「ひたむきさ」こそが、人間として成功を導く第一の要素だとおっしゃっていました。その他にもいくつもの人生の役に立つお話があり、聞き入ってしまいました。
安田暎胤管主、石井竜也さんはともに思考の達人であり、人の心を掴む達人であります。
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