1813年、スイス人ブルクハルトによって発見された、アスワンの南約284kmに位置するエジプト最南端の遺跡。その後、イタリア人ベルツォーニらによって、神殿の規模が次々に明らかにされた。
新王国時代第19王朝のファラオ、ラムセス2世が建造したこの大遺跡は、大小2つの岩窟神殿からなる。しかし、古代に名を馳せた建築王も、現代のアスワン・ハイダム建設には勝てなかった。
水没の危機にさらされたアブ・シンベル遺跡は、ユネスコの救済キャンペーンにより、1964年から1988年の間に1036個ものブロックに解体され、無事現在の場所に移された。アブ・シンベル神殿は、世界各国の協力の下、人類の共通遺産を守ろうという運動のシンボル的存在でもある。