ルクソールの南約167km、ナイルを見下ろす小高い丘の上にあるコム・オンボ神殿は、第18王朝トトメス3世により創建された神殿跡地に、プトレマイオス朝時代になって造営されたもの。
エドフのホルス神殿と非常によく似た構造が見られるが、コム・オンボ神殿は、入り口や至聖所が2つずつある二重構造の神殿だという点でまったく異なる。これは、コム・オンボ神殿が、ワニの神セベク神を中心としたトリアド(3神群)と、ハヤブサの神ハロエリス神を中心としたトリアドの、計2つのトリアドを祀っていることに理由がある。ただし、中庭や列柱室は2つのトリアドの神々が共有していた。
ハトホル女神の小礼拝堂内部には、神殿内で飼育され死後ミイラにされたワニが納められた。