ルクソールの南約60kmにあるエスナは、聖魚ラトスの信仰を集めた地である。
現在の町の中心部、9mも低い地面の高さに、プトレマイオス朝時代からローマ時代にかけて造られたクヌム神神殿が建っている。現在残る北側の列柱室には、クヌム神の大祭の碑文が記された高さ13.3mの柱24本が並ぶが、同じ形の柱頭を持つ柱は2本ずつしかない。天井には、天体図や祭儀の様子を描いたレリーフが施されている。
クヌム神は創造神の1人で、ろくろをまわし、粘土から人間をつくり出したと考えられていた。
神殿周囲の調査から、神殿の起源は新王国時代第18王朝に求められることがわかっている。