古代エジプト名はアブヂュウ。第1中間期から中王国時代初期になると、王家や貴族だけでなく民衆の間にも、死んだら再生復活できるというオシリス信仰が普及し、オシリスの聖地アビドスには、家族ステラを納める祠堂を建立するために巡礼を行う者が後を絶たなくなった。
また、オシリスはエジプト最初の王と考えられていたため、王家も神殿や遺体を納めない空墓(セノタフ)を盛んに造営するなど、古代エジプトでは極めて重要な聖地であった。
セティ1世は、この地に葬祭殿を造立。現在では、角柱の美しい第2柱廊より奥の部分がよく残る。精巧な彩色レリーフが施され、また歴代の王名を列記した王名表も刻まれている。神殿奥はオシレイオンに続いている。