ファイユーム地方は、カルーン湖の南に広がる楕円形の盆地で、エジプトの大穀倉地帯である。エジプト最古の新石器が発見されたことから、エジプトの農耕発祥の地とも考えられている。
中王国時代になって、都が近くのリシェトに移されたのを契機に重要視され、第12王朝のセンウセレト2世やアメンエムハト3世らが運河を整備、耕地の開拓や拡張に努めた。古代エジプトの運河「バハル・ユーセフの運河」は、現代でもこのエジプトの穀倉を支えている。
また近くのカルーン湖には、かつてワニも生息しており、この地方の中心地アル=ファイユームには、ワニの神セベク神を祀った神殿も建てられ、信仰を集めていた。