古王国時代第5王朝最後のファラオ、ウナス王のピラミッドは、現在では崩れた丘のようになっているものの、建造当時は底辺部57.5m、高さ43m、葬祭殿や河岸神殿、参道などを有する、立派なピラミッド複合体を呈していた。
しかし最も注目されるのは、玄室の壁面にびっしりと書かれたピラミッド・テキストである。王の復活やオシリス神の復活、王が太陽神に迎えられる話などで構成される宗教文書は、葬儀の際に神官によって唱えられたが、呪文の内容など解明されていない部分が多い。
ウナス王以降もテティ、ペピ2世などのピラミッドに書かれたが、中王国時代には棺に書かれたコフィン・テキスト、新王国時代には死者の書へと変容していった。