年末、久しぶりにエジプトに行ってまいりました。目的は、ルクソールで行なっている「アメンヘテプ3世王墓」と「太陽の船プロジェクト」の進行状況の視察ですが、一番の目的は、革命後目まぐるしく変わった考古大臣の、新任の方との今後の進め方の基本的な話し合いです。当初、就任間もなくで大変忙しいということで、なかなかアポが取れませんでしたが、昔一緒に仕事をしていたことがあるということで、ようやくお時間をいただきました。
この前の方はイスラム考古学の専門で、王朝時代の遺跡や遺物が中心のエジプト考古省では力が発揮できず、約2ヶ月で解任されてしまいました。元大臣のザヒ・ハワス博士に会おうと努力しましたが、元気だが、今は会わない方がお互いのためにいい、ということでお会いしませんでした。
日本では、連日エジプトのデモのことが報道されていましたが、私の泊まっていたホテルのあるザマリク地区や空港、ルクソールなどでは、全く何もないという感じでした。先日の騒動は、国会のあるガーデンシティの道路での、若者のサッカーが原因と伝えられていますが、スローガンは、軍が政治から手を引けというのを見ましても、サッカーは作られた原因でしょう。
選挙がすべて終わるのが3月ですから、その結果によってですが、しばらく情況は流動的でしょう。しかし、私たちとしましては、3つの大きなプロジェクトを抱えていますので、いつ変わるかもしれないというリスクを背負いながら交渉しなければならないわけです。先が見えないのが辛いところです。大臣との会見はうまくいきましたが、それが今後どう反映していくかはまだわかりません。